プレコンセプションケアとは

プレコンセプションケアイメージ

コンセプションとは、妊娠・受胎のことで、プレとは前などを意味する言葉です。つまり妊娠前からの将来的に妊娠を考えている女性やパートナーに対するヘルスケア(健康管理)のことを言います。またブライダルチェックを併用することで妊娠する能力がどの程度あるか、妊娠を邪魔する要素がないかを調べていきます。

妊娠する前から元気な赤ちゃんを産むための健康管理をしていくことが目的となります。そのためには、適正体重に努める、バランスのとれた食事をとる、日頃から運動をする習慣をつけるといったことを行うほか、喫煙者は禁煙をする、お酒を飲む方は節酒するなど、これまでの生活習慣を見直していく必要があります。

このような環境をご自身だけで整えるというのは非常に困難です。そのため当クリニックでは、プレコンセプションケアを行うためのサポートや気軽にアドバイスを受けられる仕組みも整えていますので、ぜひご活用ください。

当クリニックのプレコンセプションケア

まず初診時に問診票等にご記入いただくなどして現在の身体の様子等をチェックしていきます。さらに採血による血液検査で、身体の異常の有無(感染症、生活習慣病に関わる数値、風疹抗体 等)、がん検診等を行うなどしていきます。ご自身の身体がどの状態にあるかを把握した後は、必要とされるワクチンの接種、何らかの性感染症に感染していればその治療、基礎疾患のある方はその病気や使用している薬が妊娠に影響するかの相談を速やかにしていきます。

パートナーで健康管理を

なおプレコンセプションケアは、妊娠・出産する女性だけを対象にしたものではありません。男性につきましても質の良い精子を造るための環境づくりが必要となります。例えば、肥満は精子の質を低下させると言われています。そのため、肥満の方は減量します。また喫煙、多量の飲酒なども男性不妊のリスクを高めます。したがって、男性につきましても初診時に問診票等にご記入いただき、その回答や日頃のライフスタイルを確認しながら妊娠がしやすくなる健康管理をしていきます。

血液検査で栄養状態を確認

また妊娠に向けた取り組みとして大切なのが母体の栄養状態です。質の良い卵子、受精卵が着床しやすい環境を整える上で欠かせないとされています。また妊娠中では、胎児の発育状況に影響するほか、早産のリスクが考えられます。ただ栄養が過剰過ぎても、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児が生まれやすいということもありますので、採血による栄養検査を行い、栄養状態を把握していきます。

ブライダルチェックとは

ブライダルという言葉から結婚目前の方を対象とした検査と思われがちですが、結婚の予定がなくても将来的に妊娠・出産を希望される方も含まれます。女性だけでなく、男性も含まれます。検査項目につきましては、妊娠する能力がどの程度あるかを調べる検査が中心となります。

ブライダルチェックの主な検査項目

【女性の場合】
  • 血液検査(一般血液検査、風疹抗体検査、ホルモン検査、栄養素(ビタミン、葉酸、鉄分) 等)
  • 性感染症検査(クラミジア感染症、淋菌感染症、HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒 等)
  • 子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診)
  • 経腟超音波検査(子宮、卵巣)
  • 甲状腺検査(甲状腺超音波検査)
  • など
【男性の場合】
  • 血液検査(風疹抗体検査、ホルモン検査 等)
  • 性感染症検査(クラミジア感染症、HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒 等)
  • 精液検査(2~5日程度禁欲し、マスターベーションで採取。精子の濃度、運動率、正常形態率 等を調べます)

ブライダルチェックの種類

ブライダルチェックセット①

ご自身の妊孕性(妊娠する力)について知りたい方におすすめです。

項目名 詳細 結果が
出るまで
子宮卵巣検査 経腟超音波検査で、子宮や卵巣の状態を観察します。
卵胞(卵子の入っているふくろ)の数や発育状態をチェックします。
不妊の原因となる「子宮筋腫」「子宮内ポリープ」「子宮内膜症」「卵巣腫瘍」などの疾患がないか確認します。
即時
女性ホルモン検査
(E2,LH,FSH)
女性ホルモン値を測定する血液検査です。
状態を最も評価できる 月経1~5日目 に測定します。
いずれも卵巣予備能(卵巣の機能)を判断するための基本的かつ非常に重要な検査です。
加齢や卵巣機能低下とともにFSH値が上昇することが報告されています。
またFSHやLHのバランスは、排卵障害の有無や原因を調べる上で重要です。
当日
(30分程度)
抗ミューラー管ホルモン
(AMH)
卵巣に残っている卵子の数や、治療に反応する卵胞の数を予測・評価する指標として利用されるホルモンです。
卵子‘数’の目安になりますが、‘質’の良し悪しを表すものではありません。
1~2日
貧血検査 貧血の指標となる ヘモグロビンの値を調べる血液検査です。 妊娠中は特に貧血になりやすく、重度の貧血になると胎児にも悪影響があるため、妊娠前に検査し必要に応じて治療を開始することが重要です。 当日
(30分程度)
クラミジア抗体検査 卵管造影検査実施までに必須
性感染症の一種である、クラミジア感染症の有無(現在の感染・過去の感染)を調べる血液検査です。クラミジア感染症は、感染した後に卵管に炎症を起こし、卵管を狭めたり詰まらせたりするため、卵管性不妊症の原因となります。大半が無症状のため、気づかずにパートナーにうつしている可能性があります。感染を認めた場合、パートナーと共に抗生剤を内服いただきます。また、卵管造影検査は現在クラミジアに感染していないことが実施の条件となりますので、希望される方には必須の事前検査となります。
2~4日
ブライダルチェックセット②

妊活や不妊治療を始める予定の方におすすめです。セット①の内容も全て含まれます。

項目名 詳細 結果が
出るまで
ブライダルチェック① ブライダルチェック①についての項目をご確認ください
感染症検査
(HBV,HCV,梅毒,HIV)
人工授精・体外受精実施までに必須
B型肝炎・ C型肝炎・梅毒・HIV感染症の有無を調べる血液検査です。
万が一感染していた場合、母子感染の危険性があるため、妊娠前の検査をお勧めしています。
また、人工授精・体外受精などの処置を実施するにあたり必須の事前検査となります。
2~3日
風疹ウイルス
(HI)
風疹ウイルスに対する抗体の有無を調べる血液検査です。
妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると、胎児が先天性風疹症候群(心疾患や聴覚障害、白内障・緑内障、精神発達遅滞など)を発症する危険があるため、検査結果に応じてワクチン接種を推奨いたします。
接種後2ヶ月は避妊必須となるため、妊娠をご希望の場合は早めの検査をお勧めいたします。
3~5日
甲状腺機能検査 卵管造影検査実施までに必須
甲状腺機能の異常を調べる血液検査です。
甲状腺の病気は、不妊症や胎児発育、流早産に影響を及ぼす可能性があるとされ、なかでも不妊症の方の10人に1人は潜在性甲状腺機能低下症を合併していると言われるため、妊娠前に適切な診断と治療を行うことが大切です。
卵管造影検査で用いられる造影剤が、甲状腺機能を一時的に悪化させる場合があるため、卵管造影検査をご希望の方には必須の事前検査となります。
1~2日
ビタミン検査
(ビタミンD,ホモシステイン)
25-OH-VitD(血中ビタミンD濃度)血中総ホモシステイン値を調べる血液検査です。ビタミンDは骨の形成と密接な関係がある以外に、受精卵の着床や流産とも関与していると言われています。
不妊症女性の87.3%がビタミンD不足であるという報告もあり、活性型ビタミンD<30ng/mlでは着床率が有意に低いと言われているため、不妊症の検査として広く行われています。
ホモシステインは必須アミノ酸「メチオニン」を代謝する過程で生成されるアミノ酸の一種で悪玉アミノ酸とも呼ばれています。メチオニンの代謝にはビタミンB6やビタミンB12、葉酸などが不可欠です。しかし、これらの栄養素が欠乏すると、細胞内にホモシステインが過剰に蓄積してしまいます。
ホモシステインが胎児の神経管閉鎖障害を引き起こすことが知られています。
3~5日
ブライダルチェックセット③

不妊治療に関連する項目を広く検査したい方におすすめです。セット①、②の内容も全て含まれます。

項目名 詳細 結果が
出るまで
ミネラル検査
(鉄,フェリチン,亜鉛)
体内の鉄・フェリチン・亜鉛を調べる血液検査です。
妊娠中は特に貧血になりやすく、重度の貧血になると胎児にも悪影響があるため、妊娠前に検査し、必要に応じて治療を開始することが重要です。
ヘモグロビンの値だけでは分からない「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)」を発見することができます。
体内の銅濃度が高い方は子宮内膜に銅が付着し、着床しづらい状態になる傾向があると考えられています。
亜鉛は血中銅濃度を下げる作用があるとされ、着床しやすい子宮環境を整えます。また、亜鉛には受精卵の分割を促す作用もあります。本検査で早期に亜鉛不足を発見し改善することにより、より理想的な状態で不妊治療を開始することができます。
2~4日
糖尿病検査
(グルコース,HbA1c)
体内の血糖値・HbA1cを調べる血液検査です。
妊婦の7~9%程度は妊娠糖尿病と診断されるとされています。妊娠糖尿病を放置していると、母体だけでなく胎児にも影響が出るといわれています。
特に肥満の人、家族に糖尿病の人がいる場合、高年妊娠(35歳以上の初産)、以前に4,000g以上の大きな赤ちゃんを出産したことのある人などは、妊娠糖尿病を発症する可能性が高いため注意が必要です。
1~2日
ブライダルチェックセット④

いわゆる子宮頸がん検診、HPVに関する検査です。

項目名 詳細 結果が
出るまで
子宮頸がん検診 子宮頚部にできる悪性腫瘍である子宮頸がんを調べる検査です。
日本では2018年の1年間で、23,803人が子宮頸がんの前段階と、10,978人が子宮頸がんが見つかっています。
20歳台から40歳台の女性で多く見つかるため「マザーキラー」と呼ばれることもありますが、その多くは無症状のため、定期的な検査が大変重要です。
内診台に乗った状態で子宮頸部の細胞をこすり取り、細胞の形や性質を検査します。痛みはほぼなく時間もかかりません。
5~10日
HPV検査
(ハイリスク or タイピング)
子宮頸がんの原因の95%以上は、HPV(ヒューマン・パピローマ・ウイルス)というウイルスです。
性交渉の経験がある8割の女性は、HPVに感染したことがあるといわれています。
ただし、HPVは他の性感染症とは異なり、感染したからといって必ずしも症状を引き起こすわけではありません。
また、HPVにはさまざまな種類(型)があります。子宮頸がんの原因となるのは、主に16型、18型、52型、58型です。
これらの型は、がんの原因になりやすいため「高リスク型」HPVといいます。
一方で、がんの原因にはなりづらいHPVの型は「低リスク型」HPVといいます。
本検査では、採取した細胞からHPVの型が高リスク型であるかの精密検査もしくはHPVの型を特定する検査を行います。
検査方法は子宮頸がん検診と同様です。
5~10日
オプション
項目名 詳細 備考
子宮卵管造影検査 卵子の通り道である卵管の疎通性を確認するための検査です。
卵管が詰まっていたり狭まっていたりしないか、子宮の中に癒着している箇所がないか、その他の病変はないかを調べる目的で行います。また、卵管に造影剤を通過させることで妊娠率が上昇することも知られています。
自然妊娠を望む上で大変重要な検査です。
「妊娠の可能性がないこと」および「現在クラミジアに感染していないこと」が実施の条件となります。
また、造影剤を使用した場合、甲状腺機能が一時的に悪化する場合があります。
本検査をご希望の方は、別途クラミジア検査と甲状腺機能検査を事前に受けていただく必要があります。
要予約

ブライダルチェックの料金

ブライダル
チェック①
ブライダル
チェック②
ブライダル
チェック③
ブライダル
チェック④
項目名 単体価格(税込) 17,000円 33,000円 42,000円 11,000円
or
25,500円
子宮卵巣検査 5,300円
女性ホルモン検査
(E2,LH,FSH)
4,000円
抗ミューラー管ホルモン
(AMH)
7,000円
貧血検査 1,100円
クラミジア抗体検査 5,000円
感染症検査
(HBV,HCV,梅毒,HIV)
9,000円
風疹ウイルス
(HI)
2,000円
甲状腺機能検査 3,300円
ビタミン検査
(ビタミンD,ホモシステイン)
7,000円
ミネラル検査
(鉄,フェリチン,亜鉛)
5,500円
糖尿病検査
(グルコース,HbA1c)
2,500円
子宮頸がん検診 5,500円
HPV検査
(ハイリスク or タイピング)
5,500円
or
20,000円
カウンセリング料 5,000円

ブライダルチェック・プレコンセプションケアの流れ

①スタッフによる事前問診を行います
  • 不妊治療の知識を持ったスタッフが事前問診を行います。
  • ブライダルチェックの説明、希望される内容のヒアリング、既往症・治療歴・アレルギーの確認なども行います。
  • ※パートナーの方と別々に行うことも可能です。ご希望の場合は受付スタッフまでお申し出ください。
②医師による診察・内診を行います
  • 事前問診とご希望を踏まえ、最適なブライダルチェックセットをご提案します。
  • 十分にご理解、ご納得いただいてから、医師が診察を行います。
③採血を行います (行わない場合もあります)
  • 採血を行います。
  • 採血の 結果が出るまで1週間程度お時間を要するため、 本日はこちらで終了となります。
  • ※採血を行う時期(月経期でない場合)によっては2回採血が必要となりますのでご了承ください。
④後日、医師によるカウンセリングを行います
  • 約一週間後に、検査結果を踏まえ、現在の妊孕性(妊娠する力)についてご説明をいたします。
  • 不妊治療をご希望の方には治療内容を説明し、今後の治療計画を提案いたします。
  • ※前回月経期の採血を行っていない場合は、月経期にお越しください。説明前に採血へ案内させていただきます。
    (検査結果が出るまで最短でも30分以上お時間を要しますので、あらかじめご了承ください。)