不妊症とは

一般不妊検査・治療イメージ

不妊症とは、妊娠を望む男女のカップルがある一定期間避妊することなく通常の性交を行っているにもかかわらず妊娠しないことを言います。その一定期間については1年というのが一般的ではありますが、医学的な介入が必要な場合は期間を問わないと言われています。
妊娠を希望して3ヶ月以内に50%、6ヶ月で70%、1年以内で90%近くの方が妊娠に至るといわれております。
妊娠に至らない場合、どこかに妊娠を妨げる原因が隠れている可能性があります。
ぜひ一度ご来院いただき、原因を探してみましょう。

不妊症の原因としては、排卵因子、卵管因子、子宮因子、原因不明、男性因子があります。女性に原因がある場合(女性不妊)、男性に原因がある場合(男性不妊)のほか、男女両方に原因がある等様々なケースがあります。女性と男性の原因の比率ですが、ほぼ半々と言われております。
なので、できるだけお2人でご来院ください。

一般不妊検査・治療

自然な妊娠に至るために知りたいことが4つあります。

  1. ①きちんと排卵するかどうか(排卵障害の有無)
  2. ②精子がいるのかどうか(男性因子の有無)
  3. ③子宮・卵管などといった精子の進む道に問題がないかどうか(子宮・卵管因子)
  4. ④排卵した卵子を卵管がキャッチできるのかどうか(キャッチアップ障害の有無)

以上の4点が問題ないならば自然妊娠を望めると考えています。

4番目の卵管が排卵した卵子をキャッチできるかどうかを正確に検査するものは今の医学ではありません。

そのため、検査としては①~③について調べていくことになります。

女性が受ける不妊症の検査

超音波検査

超音波検査は、子宮や卵巣の状態を観察する検査です。卵胞(卵子の入っているふくろ)の数や発育状況のチェックを行います。不妊症の原因となる婦人科疾患である「子宮筋腫」「子宮内膜症」「卵巣腫瘍」などの疾患がないか確認します。
超音波検査は経腟的に行った方が子宮・卵巣の状態をより正確に観察できますので、基本的には経腟的に行わせていただきます。ただし、性交渉の経験がない場合等、必要に応じて経腹的もしくは経肛門的に行う場合があります。

血液検査(女性ホルモン・感染症)

不妊治療や婦人科診察において重要なホルモンや何らかの感染症(B型・C型肝炎、梅毒、HIV 等)に罹患していないか検査をします。また、クラミジア抗体の有無、甲状腺ホルモンの数値、AMHの数値(卵巣機能の状態が確認可能)も調べられ、排卵障害の原因などをみていきます。

ホルモン検査

E2・LH・FSH
卵巣予備能(卵巣の機能)を判断するために基本的かつ、とても重要な血液検査です。加齢などにより、卵巣機能の低下とともにFSH基礎値が上昇することが報告されています。

そのため北千住ARTクリニックでは最も評価しやすい月経1~5日目の測定を推奨しています。またFSHやLHのバランスは、排卵障害の鑑別にも用いられます。

ホルモンの名前

エストロゲン(E2):卵胞ホルモン
作用
生殖器や乳房の発育、子宮内膜を肥厚させます。

エストロゲンは一般的に女性ホルモンと言われているホルモンです。

エストラジオール(E2)はエストロゲンの中でもっとも活性が強く、採血等で測定する血中エストロゲンの主成分です。エストラジオールは主に卵子を取り囲む顆粒膜細胞から分泌されます。卵子自身が分泌しているわけではないですが、卵子の成熟度を間接的に示しています。不妊治療においては卵胞成熟の指標として利用されます。

月経中のE2はおよそ10~50pg/ml程度です。超えている場合には、前周期の遺残卵胞が存在する可能性があります。
排卵が近づき卵胞が成熟してくると、卵胞1個あたり200~500pg/mlのE2を分泌します。
排卵誘発剤を使用した場合など、卵胞が複数あればその個数分の値を示します。E2が3000pg/mlを超えると「卵巣過剰刺激症候群」のリスクが高まると言われています。

FSH (follicle-stimulating hormone): 卵胞刺激ホルモン
作用
卵巣で卵子の入っている袋である卵胞の発育を促します。下垂体前葉から分泌されます。

高値の場合は卵巣機能低下を疑います。
異常高値の場合は卵巣機能不全(早発機能不全、閉経など)、異常低値の場合は視床下部性無月経、下垂体機能低下症などの可能性があります。

男性では睾丸に働き、精子の形成を促します。
高値の場合は造精機能が低下している可能性があります。
異常高値の場合は精巣機能低下(無精子症など)、異常低値の場合は下垂体性精巣機能低下症、視床下部性精巣機能低下症などの可能性があります。

LH (lutenizing hormone): 黄体形成ホルモン
作用
卵巣での卵子成熟と排卵を促します。排卵後の黄体を刺激します。下垂体前葉から分泌されます。

血中のエストロゲンの数値が一定の値を数時間以上(24~36時間)継続すると、黄体形成ホルモンが急激に上昇し排卵が誘発されます(これをLHサージと呼びます)。LHサージが起きてから36~48時間に排卵するとされます。

通常FSHよりLHの方が低い値となりますが、LHがFSHよりも高値となる場合は多嚢胞性卵巣症候群を疑います。

男性では睾丸からの男性ホルモンの分泌を促します。

プロゲステロン(P4):黄体ホルモン
作用
エストロゲンが働いた子宮内膜を分泌期に変化させます。また基礎体温を上昇させ着床の準備を整えます。頸管粘液を減少させ、粘稠性を増加します。排卵後の黄体から分泌されるホルモンです。
異常高値となる場合は排卵誘発剤の使用後に多く、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などを来している場合があります。
AMH:抗ミュラー管ホルモン
作用
女性では性分化の際に子宮・卵管となるミュラー管というものがあります。男性では抗ミュラー管ホルモンがミュラー管を退化させウォルフ管が精管となります。

女性にも抗ミュラー管ホルモンは存在しており、前胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されます。
臨床においては、残存する卵子の数や生殖補助医療の際に注射などで反応する卵胞の数を評価する指標とされています。年齢とともに減少しますが、AMHが下がったからといって卵子の質の良し悪しを表すものではなく、いつ閉経するのかを予想するものではありません。

異常高値の場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、異常低値の場合は卵巣機能不全(早発機能不全、閉経など)の場合があります。

プロラクチン(PRL):乳腺刺激ホルモン
作用
妊娠中や分娩後に多く分泌され、母乳を作る働きをします。下垂体前葉から分泌されます。異常に分泌されると無排卵や無月経、黄体機能不全を引き起こす可能性があります。

高PRL血症の頻度は、健康な女性で0.4%、月経異常のある女性で9.0%~17.0%と言われています。月経異常や乳汁分泌がある場合は測定が推奨されています。高PRL血症の鑑別として機能性高PRL血症、下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、薬剤性(向精神薬、抗うつ剤など)を疑います。

※PRLは1日の中で数値の変動があるホルモンです。夜間に高く午前中に低くなります。食事や運動・ストレスによって一過性に高値となるため、測定する際は空腹・安静時が好ましいとされます。

テストステロン(TES):男性ホルモン
作用
テストステロン(Testosterone)は男性ホルモン(アンドロゲン)のひとつです。骨格や筋肉、体毛などの男性らしいカラダ作りを助けるホルモンです。男性の場合は主に精巣から分泌されます。精巣は通常4~5cm程度の卵型で、陰嚢の中にあります。精巣には精粗細胞があり、80日程度の時間をかけて細胞分裂を行い精子となり、毎日約3000万個の精子がつくられています。女性も副腎や卵巣でテストステロンを分泌していますが、テストステロンが高い場合多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)など排卵障害を認める場合があります。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
作用
喉にある甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの分泌を促します。甲状腺機能異常は不妊や流産の原因となると知られています。

TSHが異常高値の場合は甲状腺機能低下症、異常低値の場合は甲状腺機能亢進症(バセドウ病・亜急性甲状腺炎)などを疑います。

甲状腺ホルモン(FT4)
作用
甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)量は、甲状腺機能亢進症では増加、機能低下症では減少します。血中遊離型サイロキシン(FT4)量の測定は、甲状腺機能診断の有用な指標となります。
βhCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピン
作用
ヒト絨毛性ゴナドトロピンとは、妊娠中に産生されるホルモンです。受精卵が着床すると、胎盤の絨毛を形成し、そこからhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌されます。このホルモンは尿や血液から検出することができます。hCGは妊娠8~12週にピークに達した後、出産まで検出されます。

子宮卵管造影検査

精子の通り道となる卵管の閉塞や狭窄、子宮の奇形や病変がないかを調べる不妊症検査です。

  • 卵管性不妊症(卵管閉塞・狭窄、卵管周囲癒着など)
  • 子宮性不妊症(子宮内腔癒着、子宮奇形など)

検査の目的

子宮卵管造影検査は自然妊娠をのぞめるかを確認する上で必須の検査です。卵管が詰まっていたり狭まっていたりしないか、子宮の中にくっついている箇所がないか、その他の病変はないかを調べる目的で行います。また、卵管に造影剤を通過させることで妊娠率が上昇することも知られています。

北千住ARTクリニックの卵管造影検査の特徴

一般的に痛いとされる卵管造影検査ですが、その理由として

  1. ①造影剤を注入する速度が速い
  2. ②造影剤を注入する圧が強すぎる
  3. ③卵管が閉塞や狭窄している

が挙げられます。北千住ARTクリニックでは時間をかけて造影剤を優しく注入することで、卵管造影検査に出来るだけ痛みを感じないように工夫をしております。

検査にかかる所要時間

10~15分程度

検査にかかる費用

【自費の場合】
子宮卵管造影検査 33,000円
(※税込)

卵管造影検査の予約について

当院では以下の時間帯に卵管造影検査を行なっております。

※準備中※

卵管造影前に必要な検査

北千住ARTクリニックでは検査を行う前に以下のことを確認いたします。

  1. ①造影剤のアレルギーがないこと
  2. ②妊娠していないこと
  3. ③クラミジア検査が陰性であること(陽性の場合は延期となり、万全の状態になるまで抗生物質で治療していただきます。)
  4. ④甲状腺機能に異常がないこと
  • ※造影剤の使用によって甲状腺の機能の低下をきたすことがあるため、予め甲状腺の機能を確認しております。
  • ※他院より検査のみでご予約される方は、必ず検査データ(3ヶ月以内)をご持参ください。
  • ※感染症を予防的するために、あらかじめ抗菌薬と、疼痛の緩和のために鎮痛剤の処方を行っております。

検査をする時期

子宮卵管造影検査は、検査を行う月経周期の排卵日までに行うことが一般的です(絶対に妊娠していない時期に行う必要があり、月経10日目頃が目安になります)。

検査当日のステップ

検査当日の朝食後から抗生剤を内服いただき、検査の3時間前に鎮痛剤の内服をしていただきます。
当日は同意書、生理用ショーツ1枚、ナプキン1枚をご持参ください。当日はスカートでおいでいただくと検査がスムーズです。もしくは腰にまけるようなタオルをお持ちください。
ご来院されましたら、まず事前に行った血液検査の結果をお伝えします。血液検査に異常がないことを確認した後に、内診室で超音波検査を行い子宮の傾きを確認します。
処置室にご案内し、同意書の確認をいたします。
レントゲン室へご移動いただきます。
X線透視を行いながら子宮内にゆっくり造影剤を入れていきます。この際、少し痛みが生じることがあります。

検査後の注意点

通常、検査後すぐにお帰りいただけますが、痛みが強い場合は院内で様子を見させていただくことがあります。
性器出血を認めることがありますが、検査の影響ですので少量の場合は様子をみていただいてけっこうです。
検査当日はシャワー浴にして頂き、入浴は控えていただきます。
検査当日の性交渉はお控えいただきます。
翌日からは通常通りの生活をしていただいてかまいません。

起こり得る合併症

子宮・卵管・腹腔に造影剤を入れるため、感染を起こすことがあり、子宮内膜症をお持ちの場合、腹膜炎のリスクが増加することが報告されています。そのため北千住ARTクリニックでは抗生物質を投与し予防に努めます。
造影剤に対し、まれにアナフィラキシーを起こすことがあります。その際は、院内の医療従事者が適切に処置を行います。

子宮鏡検査

不妊の原因となる子宮奇形や子宮内膜ポリープ・子宮筋腫・子宮の内腔の癒着を内視鏡で確認する検査です。最近では慢性子宮内膜炎と言われる子宮内膜の炎症の観察もこの検査で行う事ができます。
子宮内の観察のため生理食塩水を子宮内に入れますので少し痛みを感じることがあります。

検査の目的

超音波検査でも過多月経や不妊の原因となりうる子宮内膜ポリープや子宮筋腫の有無や、過少月経や不妊の原因となる子宮内癒着という病態を予想することはできますが、子宮鏡検査では直接子宮内にカメラを入れる事で目に見える形で確認することができます。

検査にかかる所要時間

5~10分程度

検査にかかる費用

【自費の場合】
子宮鏡 13,000円
(※税込)

子宮鏡検査の予約について

※準備中※

子宮鏡検査前に必要な検査

北千住ARTクリニックでは検査を行う前に以下のことを確認いたします。

  1. ①妊娠していないこと
  2. ②クラミジア検査が陰性であること(陽性の場合は延期となり、万全の状態になるまで抗生物質で治療していただきます。)
  • ※他院より検査のみでご予約される方は、必ず検査データ(3ヶ月以内)をご持参ください。
  • ※感染症を予防的するために、あらかじめ抗菌薬と、疼痛の緩和のために鎮痛剤の処方を行っております。

検査をする時期

子宮鏡検査は、検査を行う月経周期の排卵日までに行うことが一般的です(絶対に妊娠していない時期に行う必要があり、月経10日目頃が目安になります)。

検査当日のステップ

検査当日の朝食後から抗生剤を内服いただきます。
当日は同意書、生理用ショーツ1枚、ナプキン1枚をご持参ください。当日はスカートでおいでいただくと検査がスムーズです。もしくは腰にまけるようなタオルをお持ちください。
ご来院されましたら、まず検査前に必要な検査に異常がないか再確認いたします。異常がないことを確認した後に、内診室で超音波検査を行い子宮内の観察を行います。その後腟内を洗浄し、子宮口から内視鏡を挿入します。
子宮内にゆっくり生理食塩水を入れていきます。この際、少し痛みが生じることがあります。
子宮内の観察を行います。子宮鏡検査が終了後、再度超音波検査を行います。

検査後の注意点

通常、検査後すぐにお帰りいただけますが、痛みが強い場合は院内で様子を見させていただくことがあります。
性器出血を認めることがありますが、検査の影響ですので少量の場合は様子をみていただいてけっこうです。
検査当日はシャワー浴にして頂き、入浴は控えていただきます。
検査当日の性交渉はお控えいただきます。
翌日からは通常通りの生活をしていただいてかまいません。

起こり得る合併症

子宮内に生理食塩水を入れるため、感染を起こすことがあり、子宮内膜症をお持ちの場合、腹膜炎のリスクが増加することが報告されています。そのため北千住ARTクリニックでは抗生物質を投与し予防に努めます。

フーナー検査

不妊症の原因の内、数%頸管因子が存在すると考えられています。
子宮頸管から分泌される頸管粘液は子宮内腔・卵管へと進む精子の通路となるだけでなく、腟からの精子の取り込み・貯蔵・選択・活性化といった重要な役割を担っています。

フーナー検査は代表的な精子~頸管粘液適合試験です。
可能な限り排卵直前に性交渉を行い、9~14時間後に受診していただき、採取した頸管粘液を観察します。
結果は以下のように表します。

  • 直進運動精子が1個でもいれば異常なし(陽性)
  • 精子が5~10個未満しかいない場合を異常(陰性)

広く臨床の場で用いられている検査ですが、臨床的意義に関して否定的な見解が多く、欧州生殖医学会(ESHRE)やアメリカ生殖医学会(ASRM)では推奨していない検査となります。
ただしフーナー検査で陰性となった方は陽性の方と比べて妊娠率が2~3倍低下するともいわれているため、希望される方は検査をし、結果次第で他の原因がないか検査を進める指標にすることはできます。

男性が受ける一般不妊検査

精液検査

精液検査の方法や基準値、当院での検査の流れや費用、検査に使用する機器などについて説明します。
不妊症の原因は女性と男性で割合が半々といわれています。そのため不妊症の原因検索として、精液の状態を知ることは基本的かつ大変重要な検査です。
当院では、禁欲2~5日後にマスターベーションにて採精容器に精液全量を採取いただき、「精液量」を測定、顕微鏡下で「精子濃度」「運動率」「総精子数」「前進運動精子数」を算出しています。

結果によって下記のように診断されます。

乏精子症
総精子数が3,900万個未満
精子無力症
精子運動率が42%未満、前進運動率が30%未満
無精子症
精液中に精子が見つからない

なお精液所見は日々変動します。1回の精液検査で精液の結果をすべて判断することは出来ません。1回目の精液所見が不良であっても、再検査をして20%前後の方が正常と判定されるという報告もあります。当院では結果が不良であった場合、1~2ヶ月後の再検査を推奨しております。

精液所見に影響を与える因子

精子は熱に弱いと言われております。精巣が体の外にある陰嚢にあるのもそのためです。
そのためサウナや長風呂、デスクワーク、ボクサーパンツやブリーフなどのタイトな下着の常用、ノート型パソコンの膝の上での使用、長時間の自動車、自転車、バイクの運転などは所見を悪くすると言われています。
その他に喫煙、アルコールの過剰摂取、ストレス、肥満、Wi-Fiをズボンのポケットにいれるのもよくありません。

精子の形成には約3ヶ月かかり、この間の生活習慣が影響されるため、日々の生活習慣の見直しが大切です。

検査可能時間
  • 平日・土:9:00~16:00
    (16時までに提出をお願いいたします)
  • 日・祝:9:00~12:00
    (12時までに提出をお願いいたします)
費用
【自費の場合】
初診の方 初診料+精液検査で
5,000円
再診の方 再診料+精液検査で
2,900円
(※税込)

一般不妊治療

一般不妊治療とは

不妊の原因検索する中で原因が特定できた場合は、原因に対する治療を中心に行っていきます。一般不妊治療には2つの治療が含まれており、排卵日を特定し、性交渉するベストなタイミングを伝える「タイミング療法」、排卵日を特定し、排卵日当日に子宮内に精子を注入する「人工授精」にわかれています。
それぞれ3~6回ずつ行う事を想定していますが、ご夫婦の年齢や家族計画によってどれくらいの期間行うかはご相談となります。治療を開始した際には6ヶ月に1度治療計画をご相談させていただきます。

タイミング療法とは

タイミング療法とは、妊娠に最適な日(性交渉をもつべきベストなタイミング)を医師が指導することで妊娠を目指す方法で、不妊治療の中では身体的、金銭的負担も少ない方法です。指導を行う以外は通常の性交渉と変わらず、より自然な妊娠を期待する方法です。
実際には排卵日より数日前からタイミングを取っても妊娠成立する可能性はありますので、ベストな日に性交渉が取れなかったとしても数日前に取って頂くこともあります。

タイミング療法の適応

あらかじめ不妊症のスクリーニングを行い、卵管や精子の状態に問題がない自然妊娠をのぞめるカップルが適応になります。
※治療開始前に男性には精液検査、女性には卵管造影検査を推奨しています。

妊娠率

原因が分からない不妊症患者において、タイミング療法における1周期あたりの妊娠率はおよそ5~6%です。
累積妊娠率は6ヶ月でおよそ50%となります。そのため4~6回程度行って妊娠に至らない場合は、別の治療方法をおすすめいたします。

費用について

1周期あたりにかかる費用
※準備中※

※排卵誘発剤を使用する場合などは別途料金がかかります。

スケジュール

  1. ①月経期の診察

    月経が開始して1~5日目にご受診いただきます。

    超音波検査で胞状卵胞(今周期に育つ卵胞のもと)の数、前周期の残りがないか、子宮内膜の厚さなどを確認します。
    タイミング療法には、薬を使わない自然周期による方法と排卵誘発剤を使用する方法があります。 後者の場合は排卵誘発剤を処方し、月経5日目からお薬の内服を始めていただきます。

  2. ②卵胞期の診察

    一般的にはその方の月経周期 –14~15日をした日が排卵日にあたりますので、その頃に来院していただきます。

    超音波検査で、卵胞の大きさを計測、場合によっては頸管粘液検査や血液中・尿中のホルモンを測定することで、排卵日を予測することができます。卵胞の発育(卵胞は1日約2mmのペースで成長し、20mm前後で排卵する)と子宮内膜の厚さ(8~10mmが着床に最適)を確認し、十分卵胞が育っていれば、排卵を促す処置(HCGの注射や点鼻薬の使用)を行い。36~42時間後に排卵をしますので、注射の翌日にタイミングをとっていただきます。
    周期によっては予想通りに卵胞発育しないこともありますので、場合により数回診察が増えることがあります。

  3. ③黄体期の診察

    HCGの注射から3~4日後に再度ご来院いただき、超音波検査で排卵(卵胞がしっかり消失したこと)を確認します。 排卵が確認できましたら、場合により着床・妊娠維持のために必要な黄体ホルモンのお薬を処方致します。

その後の過ごし方

月経が来た場合、月経が開始して1~5日目にご受診ください。

1周期あたりにかかる通院合計回数
2~4回
1回あたりの診察所要時間
15~60分(院内の状況によって多少前後する場合があります)

排卵日から2週間待っても月経がこない場合は、ご自宅で妊娠検査薬を行なってください。陽性になりましたら、その1週間後を目処にご予約をおとりください。